より実践的に、より深く 〜2025 年度 北大歯科学生実習レポート〜
こんにちは!社会福祉法⼈ろく舎です。
2025 年 11 ⽉からスタートした北⼤⻭学部との実習プロジェクト第⼆回⽬が、2 ヶ⽉間の全⽇程を終えましたので、実習の様⼦を写真とともに振り返ります。
実践の幅が広がった、2 年⽬の実習
昨年度の実習を経て、今年はさらに「実践」に重点を置いた内容へとバージョンアップしました。座学や⾒学にとどまらず、学⽣さんが実際に⼿を動かし、利⽤者様と深く関わる場⾯を意図的に設けたことが、今年最⼤の特徴です。



学生考案!口腔ケアに繋がるレクリエーション
昨年から引き続き、学⽣さんたちが特に⼒を⼊れたのが、⼝腔機能に繋がるレクリエーションの企画と実践です。
各グループがそれぞれ⼯夫を凝らし、「楽しみながら⼝腔機能の維持・向上に繋がる」プログラムを考案してくれました。ストローを使って吸ったり吐いたりしてお⼝周りの筋⾁をしっかり使う運動、⼝パク伝⾔ゲームで⼝を⼤きく動かす運動など、遊びの中に専⾨的な視点が組み込まれたレクリエーションは、今年も利⽤者様に⼤好評でした!



また、お昼ご飯の前には⽇々「⼝腔体操」の時間を設けており、ここでも学⽣さんが司会と説明を担当。⼝腔の仕組みや体操の意義を分かりやすく伝えて下さいながら、利⽤者様と⼀緒に⾝体を動かしました。将来の⻭科医師から直接学べるひとときは、利⽤者様にとっても特別な時間となりました。


“食べる” を体験する、食事場⾯への同席
今年新たに取り⼊れたのが、⾷事場⾯への参加です。
学⽣さんたちは、利⽤者様が⽇々召し上がっている「刻み⾷」や「とろみ飲料」を、⾃分たちで実際に準備して⾷べました。普段、教科書の中だけで知っていた⾷形態を、⾃らの⼿で刻み、⼝にしてみる。そこで初めて気づくことがたくさんあったようです。



さらに、⾷事中は利⽤者様の席に着き、お話をしながら⼀緒に⾷卓を囲みました。「⾷べること」を介して⽣まれるコミュニケーションの温かさを、学⽣さんたちも肌で感じてくれた時間となりました!
口腔ケアの現場を、間近で
実習のもうひとつの柱が、⼝腔ケアの観察と体験です。
⻭科医師を⽬指す学⽣さんたちにとって、⼝腔ケアは専⾨領域。しかし「介護現場でのケア」は、クリニックや病院とは⼤きく異なります。⻭磨き後の⼝の中をライトで照らして観察したり、⼊れ⻭を外してもらって状態を確認したり。⽇常ケアの実際を間近で⾒て、触れる経験は、教室では学べないリアルそのものでした。
実際に診てもらった利⽤者様から「お⼝の中、綺麗って⾔われたよ!」と、喜ぶ声も聞こえてきました。


利用者様との時間が、実習を豊かに
レクリエーション、⼝腔体操、⾷事、ケア・・・さまざまな場⾯を通じて、学⽣さんと利⽤者様の間に⾃然な交流が⽣まれました。
各グループ毎に 1 ⽇という短い時間の中でも、学⽣さんの⼀⽣懸命な姿勢と、利⽤者様の温かい受け⼊れが重なり合って、笑顔あふれる時間が⽣まれました。そんな瞬間の積み重ねが、実習をただの「学び」以上のものにしてくれたように思います。



学生さんたちの声 実習を終えて
実習に参加した学⽣さんの内、3 名の学⽣さんからの感想を皆さまにもお届けいたします!
Y.F さん



僕は今まで⾝近に認知症の⽅がいたことがなくて、デイサービスも初めてでした。正直、結構⾝構えていた部分はあったんです。でも実際に話してみたら、いい意味で⾃分たちと変わらなくて。⾃分たちが⽤意したレクリエーションにすごく⼀⽣懸命取り組んでくださって、楽しそうにしてくださる姿を⾒て、本当に嬉しかったです。
型にはめずに、普通に優しく接して、ちゃんと向き合うことで幸せな空間ができるだと実感しました。将来は郊外で⼩規模なクリニックをやって、地元のおじいちゃん、おばあちゃんを診られたらいいなとぼんやり考えていたんですが、今回実習に来てみてそのビジョンがはっきり⾒えた気がします。
⾼齢者の⽅と接することで、こんなに幸せを感じられるんだと気付くことができました。このような良い機会を本当にありがとうございました!
S.M さん


祖⺟が東京の施設に⼊っていて、正⽉に会いに⾏きました。でも実際の施設での暮らしぶりは⾒られなかったので、今回こちらの館内を⾒たり、デイサービスでお⾵呂やケアの様⼦を⾒させてもらって、『こういう場所で過ごしているんだな』と実感できましたし、とても安⼼しました。まるで『⼤⼈の学校』みたいで、温かくて⾯⽩い世界だなと思いました。
また、⽗⽅の祖⺟も別の施設にいて、より重度な⽅が居る施設なので、正直、もっと会話が成⽴しないのかなと想定していたんです。でも皆さん思ったより認知がしっかりされていて、⾷事の席でも⾃然に会話を楽しみながら、ご⾃分のペースで過ごされていました。想像していたよりもずっと⽇常的で、安⼼しました。
来年は国家試験があります。⾃分のためだけじゃなく、同級⽣や⼤学のためにも。誰かのために頑張るっていう気持ちが、今回の経験で芽⽣えた気がします。
S.Y さん



実際に⼝の中を診させてもらって、訪問⻭科という働き⽅に関⼼が湧きました。クリニックだと『患者と⻭医者』という関係ですが、訪問診療だともっとアットホームで距離が近い。困っていても来院できない⽅のところへ、医師の⽅から出向いていくという距離感が、とても温かく感じました。
医師としては、症状がある時だけでなく定期的に診たいと思うんです。でも患者さんに定期的に通ってもらうのは、⾝体的な理由や意欲の⾯でも難しい。その点、医師が定期的に訪問すれば確実に⼝腔管理ができるのでは?と今回の実習で、訪問⻭科の本質的な価値を実感しました。
実は⺟がケアマネで、祖⽗⺟もデイサービスに通っていました。⺟に連れられて地域包括⽀援センターへ⾏ったこともあって、⼩さい頃からこの世界を⾒てきたんです。⺟が信念を持って働く姿がずっと⼼に残っていて。 今回の経験が、改めてその意味を教えてくれた気がします。
2ヶ月間を終えて
座学から実践へ、⾒学から参加へ。今年の実習は、確かな⼀歩分、深いところへ踏み込めた 2 ヶ⽉間でした。学⽣さんたちが介護現場で感じたこと、気づいたことは、きっと将来の⻭科医師としての姿勢に刻まれていくと思います。
そして私たちろく舎にとっても、若い視点と熱量が、現場に新鮮な⾵を運んでくれました。
次回は、担当教員へのインタビューをお届けします。北⼤側の視点から⾒た実習の意義と、これからの展望についてなど。ぜひ次回もご覧いただけたら嬉しいです!
【シリーズ記事一覧】
・第⼀弾(2026 年度)|継続する学びの輪 〜北⼤⻭学部実習プロジェクト第⼆回⽬スタート〜
・第⼆弾(2026 年度)|⻭科医に学ぶ⼝腔ケア 〜尾崎先⽣による職員研修レポート〜
第1回目2025年度版の記事はコチラから
・第一弾|医療と福祉の架け橋 〜北海道大学歯科学部実習プロジェクト〜
・第二弾|現場で学ぶ口腔ケアの実践 〜実習の1日を振り返って〜
・第三弾|出会いの不思議、連鎖する人のご縁 ~プロジェクト実現への道のり~
・第四弾|未来の歯科医師たちの声〜インタビュー特集〜
・第五弾|関わった職員の声〜双方にとっての学びの場となりました〜


